HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
戦友―――……
かつてあたしたちは共に手を取り戦った。
それは“恋”と言う名の戦争で、“愛”と言うなの戦地だった。
そこで大切な者を共有した。
「前はお前が俺を助けてくれた。
今度は俺がお前を助ける番だ。
お前は俺の一生涯の友達だ。
だからお前と一緒に闘い抜いてみせる」
保健医は目を閉じたまま、あたしに語りかけてくる。
その言葉が一言一言、心地よくあたしの胸のうちに響き渡る。
あたしはリビングの明かりのスイッチを消した。
「かっこいいね。惚れそうになるよ」
暗がりの中、保健医が横たわっているであろうソファに目を向けた。
「よしてくれ。俺はお前の相手なんて無理。友人枠でいい
お前の“恋人”の枠は、たった一人―――
あいつのために空けておいてやれ」
その言葉を聞いて、あたしは本当に「おやすみなさい」と言って、二階に昇っていった。