HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




戦友―――……


かつてあたしたちは共に手を取り戦った。


それは“恋”と言う名の戦争で、“愛”と言うなの戦地だった。


そこで大切な者を共有した。




「前はお前が俺を助けてくれた。


今度は俺がお前を助ける番だ。




お前は俺の一生涯の友達だ。




だからお前と一緒に闘い抜いてみせる」



保健医は目を閉じたまま、あたしに語りかけてくる。


その言葉が一言一言、心地よくあたしの胸のうちに響き渡る。


あたしはリビングの明かりのスイッチを消した。


「かっこいいね。惚れそうになるよ」


暗がりの中、保健医が横たわっているであろうソファに目を向けた。




「よしてくれ。俺はお前の相手なんて無理。友人枠でいい


お前の“恋人”の枠は、たった一人―――




あいつのために空けておいてやれ」





その言葉を聞いて、あたしは本当に「おやすみなさい」と言って、二階に昇っていった。






< 550 / 841 >

この作品をシェア

pagetop