HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
あたしはのろのろと起き上がると、窓を見た。
窓のカーテンの向こう側は、ちょうど乃亜の部屋に位置している。
あたしはカーテンを開けることなく、留守録メッセージを聞いた。
『午後09時30分、一件ノメッセージヲオ預カリシテマス。再生ハ…』
と機械音を聞き流して、あたしはメッセージを開いた。
『雅……?あたし…乃亜……
さっき梶くんから全部聞いた。
ごめん雅―――……あたし…雅を裏切ったわけじゃないの……
今まで騙しててごめんなさい。
明日全部話すから、それまで待ってて』
メッセージを聞いて、ちらりと窓の外を見る。
あたしの部屋の分厚い遮光カーテンの向こう側…乃亜の部屋に灯りが灯っているのかどうか分からない。
パチン
あたしはケータイを閉じた。
分かってるよ。
乃亜はあたしを裏切ったわけじゃない。
全てはあたしを守るためだってこと―――
だけど、乃亜をこれ以上巻き込めない。
あたしはケータイを床に放り投げて、再びうつ伏せになると目を閉じた。