HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
体も頭も疲れ切ってるのに、眠って体力を回復しなければいけないのに、
眠気は一向にやってこなかった。
睡眠不足と疲労で頭が重い。生理痛でおなかや腰も痛むし。
全身だるくて、あたしは気分を入れ替えるようにシャワーを浴びた。
サー…
昨日の雨を思いだせるシャワーの音がバスルームに響いて、あたしは顔を覆った。
学校…
行かなきゃいけないのに、行きたくない。
水月の姿を見たいのに、視界に入れたくない。
きっと見たら―――あたし……
泣き出しちゃうかもしれないから。
何もかもぶちまけて、あの手に縋りたくなるから―――
でもそれだけはダメ
あたしは決めたんだ
あたしの大切なものをこの手で守るって。
キュッ
シャワーのノズルを締め、あたしは顔を上げた。
鏡に目を向けると、もう一人のあたしが鏡に映っていた。
鏡の中のあたしは、赤い唇に笑みを浮かべると、
『だから言ったじゃない。あんたは大切なことを忘れてるって。早く思い出さないと手遅れになるって。
あたしは忠告したはずだよ?』
とにやりと笑い、あたしに言葉を投げかけてきた。