HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「梶田―――…実はさっきもまた僕は、恐らくその差出人と同じ人物からの手紙を
教室で見つけた」
もう一通別の手紙…さっきの薔薇のシールがぎっしり貼られた手紙を梶田に見せると、
梶田は流石に目を開いて気味悪い何かを見るような目つきでちょっと顎を引いた。
「…こんなこと言うのもなんだけど……タイミングや状況から見て、差出人は…」
自分の生徒を疑うのはやはり気が引けるが
どう考えたって
「あのクラスの生徒じゃないか―――」
僕の推測を梶田が先回りして言ってくれた。
あまりに突飛な考えに、さすがに梶田も否定するかと思ったが、彼ははさほど驚いた様子を見せずに小さく吐息をつく。
「鬼頭も同じこと考えてんだよ。
この久米宛の手紙は久米の下駄箱に入ってた。先生が言った通りタイミング的に
クラスメイトが怪しいって」
「じゃ……僕のクラスにストーカー犯が?」
僕が目をまばたくと
「いや、それはないって。
犯人は別で、手紙を置いたのは単なる協力者だって
鬼頭は睨んでる」
「協力者―――……」
僕はまったくと言って良いほど、その存在を思い浮かべなかった。
ストーカーは単独犯だと……ずっとそう思い込んでいたからだ。
「一体誰が……」
「…まだ分からない。でも絶対クラスの中に協力者が居るって…」
梶田の言葉になんて返せば良いのか分からなかった。何か言わなきゃ…
そう考えているときだった。
TRRRR…
僕のケータイが鳴った。