HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「僕はどんなイメージだよ」
「…うーん…
『キャ~あたしさっき見ちゃった♪神代先生がイヤホンで何か聴いてたの。
きっとクラシックか何かよ』って女生徒が噂してたぜ」
梶田が嫌味ったらしく僕を見てくる。
「何だそれ。お前クラシック詳しいの?」
まこが皮肉を込めて笑って
「全然。どっちかって言うと聴かない方。眠くなる」と僕は肩を竦めた。
「あとさ~体育会のときとかジャージ姿でうろうろしてっと、
『あそこまで爽やかにジャージを着こなす先生っていないよね。
テニスウェアとかも超似合いそうじゃない♪』
とか」
梶田が女生徒の声真似をして、胸の前で手を組んでくねくね。
「キモいからやめろ」
まこに咎められて梶田はその動作をやめた。
「こいつはこんな顔してロックを爆音で聴くようなヤツだし、
爽やかテニスじゃなくて、メチャクチャ体育会系の空手だし。
この顔で“押忍”とか言っちゃうし?」
まこの説明に
「あんたが一番嘘つきじゃん」
と僕を白い目で見てくる。
「僕は嘘ついた覚えはありません。
クラシックが好きだとも、テニスやってるとも言ってない」
「ちぇ。得だよな~
見た目爽やかってだけでさ~俺なんて結構遊んでそうとか言われるし?」
「俺もそう。ホストと勘違われる。
何で女生徒はこんな男の方がいいのかねー。
料理は全然ダメだし、ついでに飼い犬のゆずはかまってくれないし??」
ゆずがかまってくれない…てのは見た目と関係ないのでは…
ま、まぁ最近ゆずは僕が呼んでも知らんぷりだし、雅がいなくて寂しいのかひとりで寝室にこもりきり。
あの変なアフロテディとずっと一緒に寝てる。
……考えると悲しくなってくる(泣)
「……ゆず…」
僕が口元に手を当ててしょんぼりと項垂れていると
「あーもう!!鬱陶しいヤツだな!
鬼頭も何でこんなヤツ好きになったのか本当に謎だぜ!」
梶田が喚いて、まこからトランプを取り上げた。
「さっさと打ち合わせしようぜ!
じゃないと、永遠に鬼頭は
戻ってこない」