HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
「そうだな。さらに仲間割れしたら向こうの思うツボだ」
まこが冷静に言って、トランプの封を開けた。
カードは表向きで“Joker”のカードが見える。
その54枚のトランプをテーブルに広げようとして、僕は目を開いた。
「待って!」
僕が大きな声でまこの手を止めると、まこはびっくりしたように目をまばたいた。
「どうしたんだよ…」
僕は一番上…Jokerのカードを手に取り、二人に見せた。
カードを掲げられた二人はカードを見て二人同時にごくり、と喉を鳴らし目を開く。
“Joker”のカード…ピエロの顔にあの赤い薔薇のシールが貼ってあって
ピエロの絵の上には
『鬼頭 雅に関わるな』
と赤い文字で書かれている。
僕はそのカードをさらに表へひっくり返した。
まこが目を開いて僕からカードをひったくる。
「このメッセージは君宛だ、まこ」
まこの手から
ひらり
カードが滑り落ちて、テーブルに舞い降りた。
カードの表には
まこの婚約者
植村 千夏さんの写真が貼り付けてあった―――