HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
久米がネコのオランピアを撫でる手を止めたからだろうか、オランピアは久米の腕からすり抜けてまたも部屋を出て行った。
久米は体勢を整えるためか、ゆっくりとした動作でコーヒーを一飲み。
軽く咳ばらいをして
「…何のことを言ってるのか分からないな」
とシラを切った。
「分からないのなら教えてあげる。
久米 冬夜は中学二年のときあたしと同じクラスに居た」
「同姓同名じゃない?俺は鬼頭さんを知らない」
「確かめれば分かることだよ。
『そんな人間居なかった』ってあたしはある人物から聞いた。
その人物は、あたしの中学校に調べに行ってくれた
乃亜
そうでしょ?
乃亜の言葉を鵜呑みにしてたんだよ、あたしは。信じてたしね。
あんたらは仲良くつるんで、あたしを騙そうとしてた。
でもそう簡単には行かないよ?」
あたしが身を乗り出すと久米は、以前あたしが長谷川製鉄所まで尾けていったときの冷笑を浮かべてにやり、と笑った。
「俺を脅してるの?
ここは俺の部屋だよ。
親父は当分帰ってこないし、君は俺と二人きりだ。
この状況分かる?」