HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~


僕はテーブルにカードを放った。


「どこまで調べた、か。


恐らくここ数日の調査じゃないだろう。


これはもう何週間、何ヶ月前から調べられてたんだ。


タイミングを見計らって出したんだろうな」


「単に俺たちの間を引っ掻き回す、って言う意味のタイミングじゃねぇだろ」


まこがメガネのブリッジを直し、僕と梶田がまこの方を見た。


「恐らく犯人は誰が鬼頭のオトコかって知らねぇんじゃねぇか?」


「え―――……」


梶田が間の抜けた顔で問い返し、


「考えてみろよ。順番的にこの薔薇のシールの手紙が送られたのは一番最初が水月」


まこがカードを手に取り、カードの先を僕に向ける。


「そして久米の下駄箱、今回は俺」


「手当たり次第だな」


僕が頷いて、


「だろ?水月と付き合ってるって知ったら、ヤツは水月への集中攻撃にするはずだぜ?」


「なるほど、当たりを探しているってところか。


でも、まこには千夏さんて人がいるって知ってるんじゃない?」


僕がまこに聞くと、


「俺が鬼頭に手ぇ出してるフトドキ者かもって思ってんじゃねぇの?」


僕たちのやり取りを聞きながら、違った意味で梶田はずーんと気落ちしている。


「…俺、俺だけまだ来てない……」


「いいじゃねぇか、こんな気持ち悪いもんもらっても嬉かないよ」


まこがちょっと顔をしかめると、


「貰って嬉しい、嬉しくないって問題じゃねぇよ。


鬼頭の相手として、何で俺が候補に入ってないんだよ!」


梶田の言葉に僕とまこは思わず顔を見合わせた。


「俺はふさわしくないって言いたいのか!」





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