HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
梶田が喚いていたが、僕はその喚きごとをスルーして
「このカードを没収したのはいつのこと?」まこにカードの先を向けた。
「カードを没収したのは確か二限目くらいの授業中だったか…」
「と言うことは、二限目の授業以降に、誰かがここに侵入してトランプをすり替えたのかもしれない」
「同じトランプを用意するのは難しいんじゃねぇの?」
立ち直りも早く梶田が言って、トランプを奪う。
「そりゃそうだな。てことは、ここで写真とシールを貼り付けて文字を書いたってことか。
まぁ不可能じゃねぇよな。俺だってここにずっと居るわけじゃねぇし」
「鍵は?」
僕が聞くと、
「五分やそこらじゃ掛けていかない。薬品棚の鍵は俺が常に持ってるし、盗まれて困るもんもないからな」
まこは首の後ろに手をやって項垂れる。
「つまり誰でも簡単に入れると言うことか」
僕が口元に手をやって考え込むと、
「今考えたってしょうがないじゃん。
何せクラスの連中だけでも40人近く居るんだぜ?」
と梶田がうんざりしたように顔を歪める。
確かに、梶田の言う通りだ。
今考えても僕の手元にあるカードはこの薔薇のカードだけ。
そして久米の秘密―――
「充分過ぎる手だ。
ヤツら…久米と右門 篤史を揺さぶるにはな」
まこが真剣に僕を眺めて、僕はゆっくり頷いた。
確かに、武器としては充分な手だ。