HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
―――約束の時間の20分前。
僕は指定されたSevenと言うファミレスに来ていた。
平日の夕食時。若いカップルや学生やらの姿が目立った。
特に指定された席もなく、僕は喫煙席を指定して大人しく案内された。
方々で若者の賑やかな声が聞こえる。
高校生、大学生―――…
右門 篤史がこの時間帯と場所を指定してきた意味がようやく分かった。
店内の客の割合は若者が多く、そのどれかに右門 篤史が居ても、僕は彼の顔を知らないからだ―――
だがしかし、今は待つしかないだろう。
僕はウェイトレスにコーヒーだけを頼み、気を紛らわせるためタバコを口に含んだ。
コーヒーが運ばれても、飲む気にはなれずタバコを吹かせながら、不自然じゃない程度にきょろきょろと視線を動かす。
不自然じゃない程度に、って意外に難しい。
何度もボックス席の女の子たちと目が合ってしまい、僕は慌てて視線を逸らした。
これじゃどっちが不審者か分かったものじゃない。
十分ほど、ケータイと店内に視線をいったりきたりさせていたが、どちらにも特に目立ったことは起こらなかった。
ケータイが鳴ることもなければ、店内に新しい客が入ってくることも、また出ていくこともないようだ。
待ち合わせの時間まで残り五分を切った。
意味もなくタバコだけを吸い続け胸の奥がむかむかと胸焼けしている。
その不快な感じは緊張と言う感情も混じってひどく不快だった。
ドキン、ドキン!と心臓が鳴って、妙な緊張を落ち着かせるために僕は水を一気飲み。
そのときだった。
「先生?」
聞き慣れた女の子の声が聞こえて、僕が顔を上げると
テーブルとテーブルの通路に
結ちゃんが立っていた。