HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



「その代わり右門 篤史との関わりを教えて」


あたしが言うと久米は渋るかと思ったのに、


「俺が楠さんとどう接触したのか種明かしより先にそっちの方が気になるの?」


とちょっと苦笑い。


あたしはカップをトレーに置いて久米を見上げた。


「種は分かってるよ。でも今それは必要ない」


それだけ言うと、久米は


「やっぱり鬼頭さんだは騙せないなー…」と鼻の頭を掻いた。




「あたしだって全部は分からない。


乃亜はあたしの誰よりも近くに居たから分かっただけ。きっと梶や明良兄、保健医を利用しても気付くよ」


あたしがふん、と言ってやると


「梶田や楠先輩はある意味一番利用しやすいけれど、でも結果を考えると無理だな。嘘が下手そうだし」


久米は爽やかに笑って、


「まぁ頭もそんなに良く無さそうだし」とはっきり言い切って付け加えた。


当たってるな。梶や明良兄を利用したらそれこそ早い段階で気付くだろう。


乃亜を選んだのはさすがと言うべきか。


あたしだって乃亜がたった一つの“ミス”さえしなければ、気付かなかった。


「林先生は最初から計算に入れてない。


あんまり知らないから、てのもあるけれど、


あの人は……」


言いかけて久米は口を噤んだ。


「あいつが、何?」


せっかちに聞くと


「関わると何か厄介そうだし?」


久米は苦笑いで肩を竦める。



厄介??まぁ当たってるかな。


厄病神だ。




「誰を利用するのかのいきさつは分かった。次は…


教えて、右門 篤史は何者なのか。


どうしてあのカフェの作戦のとき、あたしを手助けしてくれたのか。


ストーカー犯とどうゆう関係なのか」





あたしが真剣な顔で久米を見つめると、久米はベッドを立ち上がった。







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