HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



―――


保健医が作ってくれたのはふわふわトロトロの卵のオムライスだった。


「なぁんか、悪いことしちまったな」


スプーンでデミグラスソースを絡めながらチキンライスを口にする保健医。


同じようにあたしもオムライスを口にすると、それは思いのほかおいしかった。


即席とは言えここまで作れる保健医が…………謎。


「別に、気にしないでよ」


そっけなく言うと


「お前に、じゃねぇよ。水月に。


あいつまた絶対誤解してるぜ?」


スプーンの先を向けられた。


「してないよ。水月は先生のこと良い意味でも悪い意味でも信頼してる」


「良い意味と悪い意味?」


「良い意味は、『まこは僕を裏切らない』悪い意味は『千夏さんにバラしてもいいのか』?」


「天使と悪魔みてぇだな。だけど水月の中に悪魔はいねぇ。お前が言うのならまだしも。


いたとしても相当天然なアホ悪魔だ」


「ちょっとぉ、人のカレシをアホ呼ばわりしないでよね」


反撃の意味でテーブルの下で保健医の脚を蹴ると


「痛って!お前の中は120%悪魔だ!


んで、善良な天使水月は騙されてるっ!」


保健医は喚いた。


「バカだね先生。善良な天使の得意技が上段回し蹴りだったりする?」


ふふん、と言ってやると


「……ちょっと待て。俺があいつにボコられるって??」


「背後に注意だよ、先生」


意地悪ぽく言うと


「くっそ鬼頭。お前は文字通り鬼だよ!」


保健医はさらに喚いた。








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