HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~




条件反射に


「ん?」と答えると


『水月…』


またも名前を呼ばれた。






『水月、好き』






三度目の呼びかけは愛の言葉を―――


僕は目を開いてケータイを握り締めた。


雅のその言葉を聞いて、今までせき止めていた何かがあふれ出しそうになる。



「雅―――……!」


僕も愛しい人の名前を呼んだ。


愛を確認するために。


彼女の愛に応えるために。






「雅、僕もだ、僕も君を――――」





愛してる






そう続けたかったが、その言葉を発する前に


『ぅおーい、飯できたぞ~!』


聞き慣れた声に意識がいき、僕はその言葉を飲み込んだ。



まこ――――……?




『わけあって保健医がうちに来てるの。明日説明する。


あとで保健医がメールする。詳しいことはメールに書いてあるから。




放課後、第二視聴覚室で』



早口の説明を聞いて僕はその意味がさっぱり理解できなかった。


それでも精一杯理解しようとして


『放課後、第二視聴覚室で?』


確認する意味で聞くと、







『待ってる』







彼女との通話の最後はその言葉で打ち切られた。







待ってる…




雅が僕を待っている―――








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