HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



ホームルームを終えると、すぐに緊急会議で一部を除いて職員の殆どが招集された。


その一部の先生たちは校門から大通りに出るまでの道に、見張りとして立っている。


職員会議がはじまる前に僕は雅にメールを送った。


会議が終わるまで待っててももらって、その後彼女を送り届けるつもりだ。


だけど返ってきた内容は、


“今日はみんなと帰るから大丈夫。梶も居るから安心して”と言うそっけないものだった。


梶田……かぁ。


まぁ彼と楠が一緒なら大丈夫だろう。


心配だったけれど、あまり過保護過ぎても鬱陶しがられるだけだ。


それでも不安が消えてくれるわけでもなく、僕はもやもやとした気持ちのまま職員会議に出席した。


会議自体は30分ほどで終わった。


不審者が出たということで生徒に不安が広がっている。彼らの安全を守り、不安を取り除くことを最優先させ、また保護者からの問い合わせがきた場合の対処方法がいくつか提案され、


当面の間、交代で教師が学校周辺の見回り、そして見張りに立つことに決まった。


―――下校時間の過ぎた校内は静かで、時折部活に励む生徒たちの声がグラウンドから聞こえてくる。


雅も楠たちと下校していった。無事家に着いたとメールをもらったときは、思いがけないほど大きなため息が出た。


雅の無事を確認して、僕は気持ちを切り替えた。


意を決して、演劇部のある校舎に歩き出した。









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