闇を纏う(恋愛ミステリ)
警察署のそばで、かれこれ30分、純は立っていた
別に署内に入るつもりはない

「遅いな・・・予想違いかな?」
純が呟く
でもそんなはずは・・・

「つまり、俺に用があるのか?」

後ろから声をかけられ、振り向くとあの殺し屋が立っていた

「今日はサングラスなんだね」
純は努めて冷静に言う

「……。」
殺し屋は黙ったままだ

「次は殺すって言ってたから、しばらくはあたしを監視してると思ってた」
「・・・で?」
「実はあたし、昨夜誘拐されそうになったの」
純は単刀直入に切り出した

しばらくの沈黙の後、殺し屋が
「それで?」
「心当たりがこの前の夜の件しかなくて。あなた何か知ってる?」
殺し屋が失笑した
「知らんな。俺が伝えたい事はこの前伝えた通りだ。それ以外に興味はない」
純は納得した様に
「やっぱりね。じゃあ悪いけど、あなたが殺した人の事を教えてくれる?」
「なんだと?」
「心当たりがあの夜の件しかないのに、あなたは関係していない。なら被害者がなにか関わっていると思うの」

殺し屋はしばらく純の顔を見つめ
「教えると思うか?」


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