闇を纏う(恋愛ミステリ)
「あたし、命が掛かってるかもしれないの」
純が真剣な表情をする
「絶対に教えてもらうわ」

「断る」
殺し屋が純を通り過ぎようとする

「もしあたしの身に何かあったら、あの夜の事がバレるよ」
殺し屋の動きが止まる

「詳しく書いた手紙、ある所に預けてあるの。あなたの人相も詳しく書いておいたから」
純は腕組みをした
「あたしが通報したら、身近な人間を殺すなんて、もうおどしにならないよ?」

沈黙の後、殺し屋が静かに笑いだした
「面白い女だな…頭もキレる。ではひとつだけ質問させてくれ」
純が頷く

「仮におまえが死んだら、おまえの身近な人間すべてを葬り、詳しく書かれた文書が公開されない様にする、と言ったら?」

「あなたは、そんな無駄な事はしないタイプだと思う。知人すべて殺すなんてリスクが大き過ぎるし。それに…」
純が真っ直ぐ殺し屋を見て

「預けたのが知人、個人とは限らない」
と言った
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