闇を纏う(恋愛ミステリ)
「はじめまして」
柔和な営業マンといった感じの男だった
差し出された名刺に[杉本克己]と名前が記されている
喫茶店
繁華街に近いせいもあり、店内は多くの客で賑わっていた
あえてそういう店を待ち合わせ場所に選んだ
純は名刺を財布に入れると
「以前、そちらに勤めていた山田さんについてなんですけど」
「・・・山田?」
杉本は首を傾げた
「はい、山田孝さんという・・・」
「おかしいですね。当社にそういった者は在籍しておりませんが・・・」
杉本が訝しげに純を見る
「何かのお間違えでは?」
コーヒーカップが運ばれてきた
「砂糖は?」
杉本が角砂糖をつまむ
「ふたつで」
純はしばらく考えた後
「そちらの会社で、最近亡くなった方とかいらっしゃいますか?」
「・・・いますが」
杉本がカップを傾ける手を止めた
「なぜそれを?」
― どう判断したらいいんだろう?
純は迷った
山田の事は否定しているけど、亡くなった人間がいる事は認めている
両方否定したら“クロ”とジャッジするつもりだった
殺し屋があたしに嘘をつく必要があったとは思えないが、もちろん完全に信用は出来ない
柔和な営業マンといった感じの男だった
差し出された名刺に[杉本克己]と名前が記されている
喫茶店
繁華街に近いせいもあり、店内は多くの客で賑わっていた
あえてそういう店を待ち合わせ場所に選んだ
純は名刺を財布に入れると
「以前、そちらに勤めていた山田さんについてなんですけど」
「・・・山田?」
杉本は首を傾げた
「はい、山田孝さんという・・・」
「おかしいですね。当社にそういった者は在籍しておりませんが・・・」
杉本が訝しげに純を見る
「何かのお間違えでは?」
コーヒーカップが運ばれてきた
「砂糖は?」
杉本が角砂糖をつまむ
「ふたつで」
純はしばらく考えた後
「そちらの会社で、最近亡くなった方とかいらっしゃいますか?」
「・・・いますが」
杉本がカップを傾ける手を止めた
「なぜそれを?」
― どう判断したらいいんだろう?
純は迷った
山田の事は否定しているけど、亡くなった人間がいる事は認めている
両方否定したら“クロ”とジャッジするつもりだった
殺し屋があたしに嘘をつく必要があったとは思えないが、もちろん完全に信用は出来ない