闇を纏う(恋愛ミステリ)
頭から水をかけられ、純は意識を取り戻した

(・・・ここは?)

まだ朦朧とする視界に、何人かの男達の姿を認める

― 何かの倉庫の中の様だ

「気付いたか?」
杉本が、さっきまでとは打って変わった表情のない顔で呟いた

純は椅子に縛り付けられていた

「まさか自分からやって来てくれるとは思わなかったよ」
「・・・やっぱり貴方達が・・・?」
杉本が純の目の前にしゃがみ込む
「CD-ROMはどこだ?」
「?」
「お前が持っている事はわかっている。ただ途中で付けていた発信機にトラブルがあった様でな」

純は相手が何を言っているのかわからなかった
「どこに隠した?」
「し、知らない。CD-ROMって・・・」

バチンッ!!

倉庫内に大きな音が響いた

純は目がチカチカした
唇から血が流れる
頬がジンジン熱くなってくる
「どこだ?」
杉本がもう一度訪ねる
純は恐怖と混乱で何も答えられずにいる

バチンッッ!!!

今度は逆の頬をさっきの数倍の力で平手打ちされる

椅子と一緒に体ごと傾く

目に火花がチラつく

何も考えられなかった

ただ体だけがガクガク震えている

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