闇を纏う(恋愛ミステリ)
― 銃声が止んだ?

二階から聞こえていた銃の発射音がピタリとなくなった

純は遥香をおぶったまま、裏口近くで立ち止まった

耳をすます

火の燃える音と、遠くで騒ぐ男達の声が微かに聞こえる

火の勢いは強く、今いるこの場所にも炎が回り始めていた

(・・・殺し屋)
純は煙の向こうに見える階段を見つめた


― コツ、コツ

ゆっくりと階段を降りてくる足音
ピンッと緊張が走る

遥香を近くの部屋に隠し、扉を閉めると廊下に戻った

階段を見つめる
(殺し屋・・・)
ジッと瞬きもせず





― 降りてきたのは殺し屋だった
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