闇を纏う(恋愛ミステリ)
『保護された女子学生の話では・・・』

― N大学付属病院

中村は助教授室でニュースをぼんやり眺めていた

(全員死亡、または逮捕か・・・)
ふぅ、と息をつく



『著名人数人のカルテを盗み、病院側を強請る』
神崎からの提案に 中村はアッサリ乗った

助教授の給料なんてたかがしれてる
もちろん保身策はとった

― 山田をスケープゴートに

自分が疑われちゃ何にもならない
殺しの依頼は中村の独断だった

「・・・潰し合ってくれたまでは良かったんだけどねぇ」
カップにコーヒーを注ぐ

殺害依頼が神崎達にバレるのはマズい

殺害を実行した人間がROMに気付き偶然盗む

あくまでB案、可能性に賭けた感じだったが

引き出しの中からROMを取り出す
山田が盗んだモノのコピー

両者が潰し合えば、病院からの金は全て自分の物になる

「なんで学生がROMを・・・」

報道によると、神崎達がROMを拾った女学生を狙い、金銭問題で内紛が起きたらしい

中村はポイと、ゴミ箱にROMを投げ入れた

(また旨い話でも舞い込んで来ないもんかな・・・)
欠伸をする




― ドアの側に男が立っていた


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