森の中の



うっそうと茂る木が邪魔をして、昼間なのに辺りは薄暗い。


「こ、こわい…。」

あたしはほとんど半泣きで、出口を探そうと、ウロウロする。
でもそんなのあたしに見つけ出せる訳がなくて、

そんな時だった。





ポツ…


あれ? と気づいた時にはもう、大分雨が強くなっていた。
幸い、たくさんの木のお陰でそんなに雨は落ちてこないけど、それでも服や髪の毛を濡らすのには十分な量だった。


ゴロゴロ…


「っ‼」


遠くの方からイヤな音が聞こえてきた。




あたしは、その場にうずくまって、耳を両手で塞いだよ。

これで万が一にも通行人(熊ぐらいしか通らないかもしれないけど)にも見つけてもらえないかもしれないけど、そんな事お構いなしに、あたしは小さく、小さく、縮こまったよ。










ゴロゴロ…ゴロゴロ…


ピシャーン‼


ビクッと肩を揺らし、毛布の中でより一層ギュッと目をつぶる。


共働きの親の居ない昼間に来る嵐が、この世で1番キライ。
怖くて怖くて、小さな両手で耳を塞ぐ。
だけど、光も音も消えてくれなくて。


「…おにいちゃん。」

すると、ヨウ兄がどこからともなく現れて、隣に座ってあたしの手を握ってくれるんだ。

片方の耳が開いちゃったはずなのに、不思議と雷の音が遠ざかるんだよ。


そうして安心したあたしは、いつの間にかヨウ兄にもたれかかって寝ちゃうんだ。









「怖いよう、おにいちゃん…。」










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