森の中の
「大丈夫。」
「っ‼ おにいちゃんっ‼」
幻聴かと思ったけど、顔を上げると本当にヨウ兄が立っていたんだ。
「お、おにいちゃんっ、 ふっ、 ひっく…」
「とりあえず、ここは危ないから移動すっぞ。」
そう言ってギュッと握ってきたヨウ兄の手は、すごく熱かったよ。
よく見ると、雨が降って肌寒いのに、いっぱい汗かいてるし、肩で息してる。
探してくれたんだ…。
ヨウ兄に会えた安心感と同時に、罪悪感もこみ上げてきた。
「あ、あの… ヨウ兄、ごめんなさい…。」
「ほんとにな。お前は昔からいつもフラフラしててちょっと目を離すとどっか消えて、こうやって泣いてんだよ。」
ま、無事で良かったよ。
前を向いたままそう言ってヨウ兄はさらに手を強く握ってくる。
その手の熱さに、あたしはなんにも言えなくなった。
ただただ、離したくない、そう思ったよ。
ギィー…
木製の扉を開けると、そこには事務的なデスクとイス、
それから ○○○へようこそ! となんだかミッキーに見えない事もない不思議なキャラの書かれたポスターが貼られていた。
この小屋は何かの窓口だったのかな?と、デスクの前の壁がアクリル板なのを見て思う。
「とりあえず、ここなら雨風しのげるし、雷も落ちないだろ。」
落ちる、と言う言葉を聞いてビクッとしたけど、ヨウ兄が来てから、不思議とそれほど恐怖は感じなくなっていた。