森の中の
雷があたしに落ちたみたいだった。
「そ、そうなんだ…」
がんばれ、あたし、
ちゃんと喋れ、震えるな、
「ミ、ミユキさんって、すごく綺麗だし、可愛いし、優しいし、
料理もうまそうだよね、いい人捕まえたね~‼」
「まあな、今日ミユキ連れて来たのは、親に会わす為でもあったんだ。」
そっか、もう、紹介もしちゃうくらい真剣なんだ。
「じゃあ、ミユキさんがあたしのお姉ちゃんになるんだね~、
あんな綺麗なお姉ちゃん、鼻高々だよ。ほんとに…」
ギョ、としてヨウ兄がこっちを見たのが分かった。
「お前、なんで泣いて…」
あれ、失敗しちゃったか。
笑顔で喋ってるつもりだったのに、いつのまにか視界は涙でぐちゃぐちゃに歪んでた。
「アヤネ…」
やめてよ。
そんな優しい声で呼ばないで。
止まらないじゃん…っ
「今までずっと、見ないふりして、気付かないふりしてたのに、
こんな風に、ヨウ兄の前でさらけ出しちゃうなんて…っ」
「アヤネ、」
「すき。 すきだよ、ヨウ兄。
だいすき。 お兄ちゃんとしてなんかじゃないよ。」
低い声も、二重の大きな目も、笑うとのぞく八重歯も、
広い背中も、大きな温かい手も、ぜんぶぜんぶっ…
「っ、だいすきなの、おにいちゃんっ…
結婚なんかしないでよっ…‼」