森の中の
気が付くと、窓から太陽の光が差し込んでいた。
「雨、上がったな。」
あたしが思っていたことを、ヨウ兄が言う。
そう、あたしたちは、こんなにも通じ合っているんだ。
だって、“兄妹”だから。
なんにも怖がることなんてないんだね。
気が済むまで泣いたから、頭はガンガンと痛むけど、
どこか晴れ晴れとした気持ちになったよ。
「そろそろ帰るか。」
体を離しあい、チラリとヨウ兄を見上げると、ヨウ兄の目も少し赤くなっていた。
ギィー、 バタン。
ミッキーもどきのポスターに別れを告げ、
森の中を歩きだす。
あたしはヨウ兄の少し後ろを歩く。
…右手はしっかりと繋がれたまま。
「…よく、」
ん? とヨウ兄がこちらを振り返る。
「よくこうやって歩いたよね、小さい時。」
ああ… と、ヨウ兄は何かを思い出したように少し笑う。
「お前は目ぇ離してるとすぐ道草くって、おまけに迷子になるからな。見失わないように手ぇ引っぱって歩いたな。」
…そう。あたしは小さい時から良く言えば好奇心旺盛、悪く言えば目移りばっかで前に進まない、そんな子供だった。
いっつも、早く行くぞって、ヨウ兄に怒られたなあ。
「まあでも、そうやってお前が 見て見て! って見付けた小さい花とか、誰かが落としたキーホルダーとか、見てて楽しかったけどな。」
…えへへ。