森の中の
もうすぐ、出口だ…
「ヨウ兄…。」
「ん?」
「あたし、ヨウ兄の妹に生まれて、よかったよ。」
「俺もだよ。」
そう言って、もう一度確かめるようにヨウ兄の手を強く握りしめる。
ギュ、と応えるように握り返され、
それから、どちらからともなく、手を離した。
二度とこの手を握ることはないんだろうな、と頭痛のひどい頭で考えたよ。
だいすきだよ、おにいちゃんー。
ヨウ兄がこちらを振り返り、少し悲しそうに、優しく、笑った。