森の中の
ミユキさんに同調してぶんぶん頭を振っていると、
「は? お前、女の子ってキャラかよ。
さっきだって ぎゃー! とか言ってたくせに。
それにミユキも楽しみにしてただろ?」
ヨウ兄が少し優しい声で尋ねると、
それは、そうだけど…と、ミユキさんは大きなウルウルの目を少し伏せた。
まつげ、ながっ‼
それ、自前ですか?
「とにかく、行くぞ。
あと、15分。でなきゃ、置いてく。」
置いてくとか言うなら、待ってないでさっさと行っちゃえばいいのに。
とか言いながら、結局急ピッチで支度するあたし。
日焼け止めを軽く塗り、
アイラインと、ロングタイプのマスカラを睫毛に置く。
ミユキさんに比べりゃ可哀想な睫毛だなあ~。
でも、つけまつげとか、ゴテゴテのマスカラとか、
そういうのにはあんまり興味ない。
大学生になった今でさえ、時々スッピン?って聞かれるくらい、薄化粧なあたし。
だって、楽チンなんだもん。
「できだっ‼」
ジャスト、11時30分。
あたしって天才だなあ~。
ガレージに行くと、もう2人は車に乗っていた。
運転席に、ヨウ兄、
助手席に、ミユキさん。
「遅いぞ。早く乗れ。」
「へいへい、どうもすみませんね~。
これ、ヨウ兄の車?」
「ああ。去年買ったんだ、バイト代貯めて。」
「ヨウ、買った時大騒ぎだったよね、 ついに買ったぞ~‼ って。
わたし、いつ車で寝るって言い出さないかハラハラしてたんだよ。」
「愛車で野宿は男の夢だ‼」
深いブルーのセダンタイプの車。