太陽のキセキ
二人きりになった教室はザワザワと騒がしい学校内とは打って変わって、時間が止まってしまったかのようだった。
静かに教室の端に座るのは美しい少女。
ピンと姿勢よく座って外を眺めていた。
グランドで体育の準備をする3年生。
彼女の視線はそれより上を向いていて。
あぁ、
雲一つない青空だ。
青々とした空は見ているだけで清々しい気分になれる。
俺の大好きな夏の空。
なのに、
それを見る彼女の横顔は愁(ウレ)いを帯びていた。
綺麗でどこか淋しい。
そんな光景に俺は固唾(カタズ)を飲む。
踏み込んではいけない異空間に迷い込んでしまったみたいで落ち着かない。
でも気づけば彼女を魅入(ミイ)っていたのだった。
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