透明な水
光ちゃん、少し痩せたなと思いながら、私は車を走らせていた。


「毎日、海に出掛けてるの?」

私は、出来るだけ明るい声で話しかけた。

「あぁ。毎日行ってるよ。好きなら毎日、行かなきゃいけないんだろ?」
光一朗は笑いながら答えた。

「なんで、海に来たんだ?」

私は、言葉に詰まった。光ちゃんがガンだという確証はない。

「たまには、海も見ようかなぁと思って。あと、誕生日プレゼントを催促しに来た。」

「誕生日?いつ?」

「来月の19日。」

「誕生日が嬉しいなんて、若い証拠だな。」

「やっと喜べるようになったんだ。お母さんにもプレゼント頼んだよ。」
「良かったな。お母さんと会ってるんだな。」

「うん。お母さんには家庭があるから、1ヶ月に2回位だけどね。」

「そうか。本当に良かったな。」

光一朗はゴホゴホと咳をした。
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