透明な水
私は、眠れないまま朝を迎えた。


光ちゃんが、風邪をひいてはいけないと、厚着をしてもらった。

光ちゃんは笑いながら

「雪だるまみたいだなぁ。」

と、されるがままになっていた。

冬の海は、静かで寂しい感じがした。

「光ちゃん、前に夢の話しをした事があったでしょ? 私、新しい夢が出来たよ。」


「そうか。で、夢って何だ?」

「コーヒーショップを開きたいなぁって。小さくてもいいから。」

「いい夢だなぁ。明日見なら、絶対に叶えられるよ。」

「お店の中には、空の写真を一杯貼るの。水色を基調として、テーブルとか、コーヒーカップは白。」

そう言って、光ちゃんの顔を見たら、顔色が悪かった。

「もう、帰ろう。」

「まだ、大丈夫だよ。夢の話しも聞きたいし。」
「家に帰ったら話してあげるよ。風邪ひいたら大変だもん。」

私は、光ちゃんを引きずるようにして、急いで帰った。
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