透明な水
第七章
次の日は、朝から雨だった。

今日は、受診日だと光ちゃんが言った。


病院は、消毒の匂いがして、なんだか窮屈だった。


待っている間、光ちゃんは私の肩にもたれかかっていた。

やっぱり、呼吸が苦しそうだ。

私は週刊誌を読むまでもなく、ペラペラめくっていた。

「わぁ! キレイ。」

美しい海の写真だった。
「ニューカレドニアだって。」

光ちゃんは、写真を見ると、

「天国に近い島って、言われてる国だよ。」

「麻生さん、どうぞ。」

看護師が呼びに来て、光ちゃんは診察室に入って行った。
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