透明な水
夜に母に電話をした。

誕生日プレゼントに、空の写真集が欲しいと告げた。

「分かったわ。本当に空が好きなのね。」

母の心地よい笑い声が私の耳に届いた。

最後に母から気になる事を聞いた。

姑の病院に付き添った時に、光一朗を見掛けたという。

「チラッとしか見なかったんだけど…たぶん、麻生さんだと思うわ。お姑さんがいたから、声はかけられなかったんだけど。」

「じゃまたね。」

電話を切ったが、私は胸騒ぎがしていた。

だって、その病院っていうのは“ガンセンター”なんだから。
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