DISGUISE
しかし今日は違う。

颯爽と扉を開けると、よく澄んだ柔らかな声で挨拶をした。
すると聞き慣れぬ声に、皆が視線を集中させた。

だが、ここに来るまでの間に、由紀は充分に気分を良くしていた。
そんな事は意に介さず、堂々とした足取りで自分の席へと向かった。
そうして由紀が席に着くと、見慣れぬ容姿端麗な人物の正体を、皆が思い知らされるのだった。

いつも由紀が席に着くと、露骨に嫌そうな顔をする隣の席の同僚であったが、先程の守衛の反応を再現するかのようなリアクションをしたので、それも由紀を益々愉快な気持ちにさせた。

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