DISGUISE

そうして数ヶ月も過ぎたある日､いつものように同僚達と昼食を済ませ､午後の仕事に戻ろうとしていた由紀は､ふと注意書きを思い出した｡

これまでのように残業していたのでは､いずれ装用時間を超えてしまう日が来るかも知れない｡
何とかしなければ｡


由紀は話があると言って別室に上司を呼び出すと､病気の母の看病を理由に､残業の免除を願い出た｡

以前は由紀のやる事なす事に､いちいち文句を言っていた上司だったが､ここ最近の由紀の働きぶりには目を見張るものがあったし､現に営業成績として結果を残している｡
上司はそれを快諾した｡

或いは美人に懇願されると､無碍には断れない男の性も働いたのかも知れない｡
しかし何はともあれ､当面の問題は解決した｡

私は生まれ変わったの｡
まだまだこれからも､新たな人生を満喫しなくては｡

不安の解消した由紀は､益々精力的に仕事に取り組んだ｡