DISGUISE
隣人は予想以上に早く現れた。
そして由紀がまだ何も言わぬ内に用件を察したらしく

「あぁ荷物ね。ちょっと待ってて」

と、足早に奥の部屋へと消えていった。

隣人は一見すると一般的な主婦のようだが、どうやら旦那のいない母子家庭で、パート務めでもしているようである。

普段から由紀は帰宅時間が遅く、休日も家に籠もりがちで近隣との付き合いも稀薄なのだが、その程度の事は何となく推察できた。
何度か見掛ける機会もあったが、子供はまだ小学校の低学年くらいである。
女手一つで子供を育てるには、相応に苦労もしているだろう。
こんな時間まで明かりが灯っているのを考えると、もしかしたら内職でもしているのかも知れない。

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