金髪執事と1つ屋根の下
俺は、体を起こして扉の近くにいる直紀の元へと歩き出す。
一歩踏み出すたびに、聞こえてくる直紀と誰かの会話。
「お前も…サボってるのか?」
「サボってる」って聞いてるってことは、先生じゃねえんだな。
だとしたら………誰だ?
「……へ?」
耳に聞こえた、聞き覚えのある間抜けな声。
…………まさか。
俺は歩く速度を速めた。
その間にも、直紀と誰かの会話は続けられていく。
「……?
お前何か声高くねえ?」
「……え?」
直紀の問いに戸惑う声が、完璧に聞き覚えのある声で。
それは、ここにいるはずのない相手で。