金髪執事と1つ屋根の下
一方通行?
「藍から離れろ」
すぐ後ろから聞こえた声に驚いて、私は後ろを振り返る。
瞳に映るのはあたしに覆いかぶさるようにして扉に手をついている隼人の姿。
隼人の姿を見て、安心したからか私の目には涙が浮かぶ。
隼人の体は私の近くにあるけど、顔は私の方へは向けようとしない。
隼人が見ているのは、さっきまで私に質問をしてきていた男子。
「隼人……この子…女の子だけど…知り合いなのか?」
隼人に見つめられている男子は、私と隼人を交互に見ながら口を開く。
「…………」
隼人は黙ったまま扉から手を離して、自分の髪を触り始める。
隼人の腕がすぐ傍から離れていくのが、名残惜しい。