可愛くない同居人。
第一章
金色の月。
暗闇にぼんやりと浮かぶ、金色の月。
手を伸ばせば届く気がして、ゆっくりゆっくり近づける。
あと、少し・・・。
「いつまで寝てるんですか?」
とても冷たいのに、どこか心地良く、甘い声が耳に響く。
私は、夢を見ていたようだ。
「凛(リン)・・・おはよ」
「もう昼です」
「月みたい」
「はぁ?」
凛の、ふわっとゆるいパーマがかかった金色の髪が、窓から差し込む春の優しい陽に照らされて、夢で見た月のように綺麗だった。
「寝ぼけてないで早く起きて下さい」
「もうちょっとだけ寝かせて」
「ダメです。今日僕が洗濯担当なんですよ。片付かないじゃないですか」
「うーん・・・」
「あなたの汚れたパジャマも洗わないといけないんですから」
「だから、あとちょっとだけ」
「・・・襲いますよ」
「はい、起きます、起きました」
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