可愛くない同居人。

その後も二人の追求は続いたが、結局あの人のことは話さなかった。



騒がしい夜を過ごし、そして、夏祭り当日。


空は綺麗な茜色に染まり、提灯に淡い光が灯り始める。


僕は、初めて浴衣というものを着た。

何故か着るだけで身が引き締まる気がする。


「凛、男の俺が言うのもなんだが、すげぇかっこいいというか、似合ってる」

健がそう言って、晃もコクコクと頷いた。

「お世辞ならいらないです」

「お世辞じゃねぇって」

少しもめながら、なんとか健と晃も浴衣を着て、家を出た。

いよいよ、夏祭りのはじまりだ。


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