可愛くない同居人。




ダランとした目をして僕を見上げ、ねだるように唇を突き出してきた。


「ね、もっともっと」

さっきよりも甘い声。


僕はクスッと笑って長い髪に優しく指を絡めて撫でた。



「ダメです」


「えー!ねぇ、お願い」


どうしようか考えていると、携帯が鳴った。

こんな時に誰だろうか。



「もしもし・・・」


『凜!今どこ!?何してんの!?』


かなり慌てた様子のあの人だった。


僕はため息をついた。


「あなたには関係ありません」


『あるわよ!』


「僕は忙しいので失礼します」


『あっ!ちょっと!』


一方的に電源を切り、ポケットにしまった。


まったくうるさい人だ。
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