可愛くない同居人。

凜はその後、安心したのかわからないが、すぐに眠りについた。



寝ている顔は、年相応の子供のように無邪気で無防備。


なんだか微笑ましく思い、起こさないようにそっと頭を撫でる。


「ん・・・」

しまった!起こしたか!?

焦ったが、どうやら違ったようだった。

ふぅーと安堵のため息をつき、再び撫でた。




ふと、今までずっと疑問に思っていたことが、くっきりと浮かび上がってきた。



それは、凜の生い立ちや、両親のことについてだ。


社長に凜と同居してくれと頼まれた時、全くと言っていいぐらいに、凜について教えてもらえなかった。


なぜ?


そういえば、私になら凜が救えると、社長は言っていた。


あれはどういう意味なのか?


あの時は聞きそびれてしまったが、きちんと聞いておかなければいけない。





「・・・なさい、ごめん、なさい」


「え?」


「・・・痛い、やめ、て」


寝言だが、顔は苦しげで、うなされている。
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