可愛くない同居人。
「あんたのせいで佐々木さんに笑われたじゃない」
「俺のせいかよ!」
また喧嘩し始めると、社長の秘書が私の名前を呼んだ。
「何でしょうか?」
「社長があなたに用があるので来て欲しいと」
「わかりました」
凛のことだろう。
なんとなく直感でそう思った。
「失礼します」
社長は窓の外の景色を眺めていた。
私に気づくと軽く微笑み、椅子に座るよう促した。
「凛くんとの生活はどんな感じだ?」
やっぱり凛のことか。
「今朝、喧嘩をしてしまいました・・・」
「そうかそうか」
社長は優しげな表情をくずさなかった。
「悪かったね、無理なお願いをしてしまって」
「いえ!謝らないで下さい!」
「もし、限界だと思うなら遠慮なく言ってくれ」
まだ一週間ほどしか一緒に暮らしてないのに、もう限界だなんてなんとなく言いたくない。