可愛くない同居人。
秘書がだした紅茶の入ったカップを手に取り、口につけようとした時だった。
「私が何故君に凛くんをお願いしたか、分かるかい?」
いきなりそう聞かれ、驚いた。
紅茶を飲むことをやめ、カップを元の位置に置いた。
「社長に、借りがあるから、でしょうか?」
社長は大声で笑った。
「君に借りをつくっただなんて思ってないよ。私は当たり前のことをしただけだと思ってる」
「そんな、当たり前だなんて!社長には、感謝してもしきれないぐらいの恩が」
「まぁ、今回お願いしたわけは、君が言う恩を返してもらうためではないんだ」
では、一体なんなのか?
答えが全く出ず、困っていると、社長は笑顔を崩し、会議などで見る、真面目な表情をした。
「君になら、凛くんを救えると思ったからだ」