可愛くない同居人。
酒や煙草、香水。
色んな匂いと、色んな人がうごめき、妖しい光をはなつ店。
上辺だけの言葉に、上辺だけの笑顔。
甘い言葉、甘いサービス。
求めるものを、ただ、捧げるだけ。
「凛くんだ!りーんくーん!」
「麻奈美さん?」
後ろから思い切り抱き締められた。
その腕を優しく解き、正面から抱き締め返す。
「良い匂い・・・香水変えました?」
「分かるんだ?さすが凛くんだね!」
嬉しそうに笑い、抱き締める力を少し強める。
「席に、座りましょうか」
「案内して!」
軽々と、麻奈美の体を持ち上げ、お姫様抱っこをし、ソファーへとゆっくり降ろす。