可愛くない同居人。

心のどこかでホッとした自分がいて、少し嫌になる。


「変な誤解させちゃったし、気遣わせちゃったね。ほんとにごめん」

悪いのは、謝らなければいけないのは、僕だ。

分かってる、けど。



「本当に悪いと思っているのなら僕の腕を離して下さい」

「あ、うん。ごめん」


素直になれない。


むしろ、悪態をついてしまう。




「お腹すきました。早く帰りましょう、おばさん」


「!?う、うん!帰ろう帰ろう!おばさんじゃないけどな」


そんな僕でも素直に接し、笑顔をくれるあなたと


「って、ごめん、凛」

「?」

「さっきの恐怖で足が震えちゃって動けないいい」

一緒に帰っても


「・・・あの威勢の良さは見かけだけだったんですね。ダサ」

「なっ!!」

「ほらっ、僕につかまってください。今回だけ特別におぶってあげますよ」


いいですか。
< 46 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop