可愛くない同居人。
私は美香が指輪をしていることに気がつき、なんとなく聞いた。
「美香はいないの?付き合ってる人とか?」
美香は私が見たこともないような笑みを浮かべて、楽しげに言った。
「付き合ってるっていうか、なんていうか。まぁ、好きな子っていうよりも、お気に入りの子がいる。みたいな?」
お気に入りの・・・子?
この言葉が何故か私の心に引っかかった。
「美香、お気に入りの」
「あ、いっけない!ごめん薫!今から行かなきゃいけないところがあって」
「ん?あぁ、いいよいいよ。あたしなんか気にせず、いってらっしゃい」
美香は何やら手際良くメモに書き、私に渡した。
「それ、アドレス。またメールして!今日は楽しかった!ありがとうね」
「こっちこそありがとう!またね」
笑顔で手を振り、美香は慌ただしく去って行った。