可愛くない同居人。
美香に貰ったメモをポケットにいれ、さっき買った林檎ジュースを飲みほし、もう少し文化祭を楽しんでから帰ろうと思い、教室を出た。
「美人なお姉さん」
肩を軽く叩かれ、振り返ると、執事の格好をし、満面の笑みを浮かべて私を見つめる二人の学生がいた。
一人は背が高い男の子で、もう一人は私より背が低い女の子だった。
「ちょっとお時間いただけませんか?」
「え?」
「最高のおもてなししますよ!」
そう言って女の子は私の腕を組んだ。
「あ、あの」
どうしようかと困り、苦笑いをしていると、男の子も私の腕を組んできた。
「さぁ、行きましょう超絶美人なお姉さん」
褒められて嬉しくない人はいない。たとえ見え透いた嘘であっても。
私は半分諦め、素直に二人に着いて行くことにした。