可愛くない同居人。

幼馴染の人は、片手で僕の両腕を押さえ、もう片方の手で、ポケットを探った。


取り出したのは、携帯電話だった。


「警察に連絡してやるからな!」


最悪だ。

幼馴染の人は、どんな勘違いをしているのか。


「困りますので、やめて下さい」

「うるせえ!」


話が通じない。

面倒くさい。

飽きれていた時だった。


「えっ、陸?なにしてんの?」


来た。

あの人だ。


「泥棒を捕まえた!早く警察呼べ!」

「泥棒!?」

恐る恐る僕の顔を覗き込み、驚きの表情を浮かべた。

「凛じゃん!泥棒じゃないよ!」

「へっ?」

幼馴染はやっと力を緩め、改めて僕の顔を見た。




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