可愛くない同居人。

「大丈夫」

そう何度も言っていると、徐々に凛の震えがおさまっていった。


「ちょっとは落ち着いた?」

「・・・はい」


そろそろ嫌がるだろう。

抱きしめるのをやめようとしたら、凛がわずかに体を私にすり寄せ、くっついてきた。


「もう少し・・・このままでいて、下さい」

「わ、私なんかでよければ!」


私はさっきよりやや力を強め、ギュッと抱きしめた。

凛が私なんかを頼ってくれたことが、ただ単純に嬉しかった。


「おばさん・・・あったかいんですね」

「凛もあったかいよ」

「・・・陽だまりみたい」

「凛は」


暗闇に、ぼんやりと私の目に映る、綺麗な金色の凛の髪。

まるで


「月みたいだね」


< 79 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop