天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
さて、それぞれ着替え終わった事だし、折角だから楽しまなければならない。

いの一番に海に飛び込んではしゃぎ回るのは雛菊、チカ、八鶴、真菜の四人。

月、万里はビーチパラソルを立ててデッキチェアに寝そべり、イリアの準備するトロピカルドリンクで喉を潤す。

出麼はマイペースに平泳ぎでスイスイ泳いでいる。

よく監視しておかないと、どこか遠くの島まで遠泳して行きそうな勢いだ。

さて、秋帆はというと。

「…………」

一人ビーチに突っ立っている。

手にしているのは一冊の本。

タイトルは『恋愛勝ち組になる!女性の心理を鷲掴みにする108の方法』。

何故煩悩の数と同じなのかは、とりあえず弄らない方向で。

とにかくその本によると。

『何かを共有する事で二人の距離が縮む』とある。

…秋帆は考えた。

何事もまず格好から。

(まずは肌の色を共有しよう!)

彼は人生初の日焼けに挑戦しようとしていた。

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