天神学園高等部の奇怪な面々Ⅷ
ようやく騒ぎが収まる。

「さぁさ、明日には修学旅行を終えて天神学園に帰るんです。今夜は十分に休んで下さい。旅の疲れで学業を疎かにするなんて事のないように」

パンパンと手を叩く月の言葉で、生徒達は各自部屋へと戻っていく。

まだお祝いムード冷めやらぬ生徒達。

万里、出麼、八鶴らは、雛菊と秋帆を連れて部屋の中でまだ騒ぐつもりらしい。

その様子を。

「……」

気に入らない様子で見つめている女子生徒…いや男子生徒が一人。

チカは軽く腕を組んだまま、憮然とした表情を浮かべていた。

「…あれ、どした?チカ」

それに気づいた真菜が声をかけるが。

「別に…」

チカは一人旅館の外へと出て行く。

「ちょっと、どこ行くの?ウロウロしてると生徒会長に叱られるよ?」

「うるさいな、庭で外の空気吸ってくるだけだよ」

真菜の言葉に不機嫌を露わにしつつ、チカはロビーを出て行った。

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